パソコンのディスプレイはなぜ縦横比16:9が多いのか
DELLの新型「XPS 13」が16:10のディスプレイを採用して発売されました。
New XPS 13ノートパソコン(9310)(2020年10月2日発売)個人的には「薄型ボディ」と「極細ベゼル」にはあまり価値を見出さないのですが、ディスプレイの縦横比(アスペクト比)が16:10であることには強く惹かれます。
2021年3月23日追記:ThinkPad X1 Carbonにも16:10のディスプレイが採用されました。
16:9と16:10の違い
近いサイズで一例を挙げると、16:9のフルHDは1920×1080ドット、16:10のWUXGAは1920×1200ドットです。
横はどちらも同じで、縦はWUXGAはフルHDに比べ120ドット増えているだけですが、縦方向の面積が増えると無駄なスクロールをしなくてよいなど、使い勝手の良さは数字以上に感じます。
テレビを見る用途ならともかく、パソコンとして使うには16:9の縦は狭すぎると思いますが、Windowsノートはほとんどが16:9のディスプレイを採用しています。
デスクトップ用のディスプレイも主流は16:9です。
16:9以外のディスプレイを採用している例外的なノートパソコンは、DELL New XPS 13以外ではMacBook(16:10)やMicrosoft Surface(3:2)、一部のレッツノート(16:10)などがあります。
16:10や3:2という選択肢
そもそもディスプレイの縦横比がなぜ16:9なのかは諸説ありますが、それまで主流だった4:3のブラウン管テレビと入れ替わった液晶・プラズマなどのワイドテレビは16:9になっています。
パソコンもそれに倣ったのか、以前は4:3などだったのが年が経つにつれ16:9に移行しています。しかしパソコンはテレビではないので、コスト以外に16:9にしなくてはならない合理的な理由はありません。
むしろ、パソコンの場合は縦方向が長い方が使い勝手が良くなります。
モニターを縦向きにして使う場合も、16:9の横1080ドットでは幅が狭すぎます。
Windows機の現実的な選択肢としては、DELL XPS以外でもMacにWindowsをインストールしたり、Surfaceを使うという方法があります。
しかしMacとWindowsではキーボードが違うので使い勝手が悪かったり、Surfaceはタッチパネルなので画面が光沢になってしまうなど、積極的には選べない理由もあり、16:10や3:2のノートパソコンは選択肢がほとんどないというのが現状です。
(某フ〇ーウ〇イにも16:10はありますが、メーカー的にアレなので)
2021年6月追記:
パナソニックでも14型3:2ディスプレイ搭載の Let’s Note FVシリーズが発売されました。
16:9のパネルが多い理由
ではなぜ16:9が多いかといえば、やはり使い勝手よりコストを優先した結果だと思われます。
下の図は対角線を15インチ(38.1cm)相当で書いてみたものですが、サイズ表記は同じでも一見してわかるくらい面積が違います。
3:2は16:9より8%ほど面積が広くなります。
広くなった分は当然コスト高になりますから、同じ15インチモデルだったら面積の小さい16:9で作る方が材料代は安くて済みます。
また、16:9のパネルが大半だと思われるので、量産効果でより低コストになるという理由も大きいのではないでしょうか。
液晶パネルも大型のガラス基板から作りますので、既定サイズのガラス基板から16:10や3:2のパネルを作るとロスが多くなるというようなこともあるかもしれません。
16:9以外のパネルを採用しているパソコンは比較的高価格帯のものが多くなりますが、値段が高いのにはこういう理由もあるのでしょう。
いずれにせよ、DELLのようなシェアの大きいメーカーから16:10が出たのは喜ばしいことです。
各社が今後発売するノートPCのディスプレイに16:10や3:2の採用が多くなることに期待したいと思います。
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